痴漢抑止バッジデザインコンテスト いよいよ結果発表

結果発表

たくさんのご応募ありがとうございました!今年は全国91校から628作品の応募がありました。中学・高校生を中心に963名が参加した審査を経て受賞5作品を決定。受賞作は製品化され、2025年春より無料配布されます。【配布サイト】


アドバイザー 斉藤章佳氏
(精神保健福祉士・社会福祉士/西川口榎本クリニック副院長)

斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士/大船榎本クリニック精神保健福祉部長)

審査の過程を見ている時から、個人的に4人が手をあげている「宣誓」がいいなと思っていました。理由としては、意思を主張しているのが伝わってくるデザインだということ。昨年、東京都で実施された「痴漢被害実態把握調査」でも、痴漢の現場で第三者が介入した場合結果9割が痴漢行為を止めるという結果がでています。痴漢犯罪は被害者と加害者だけの問題ではなく、痴漢しているとか怪しい行動に気づいた方がどういうアクションを取るのが非常に大事です。デザインで第三者介入を伝えるのは難しいと思いますが、その点をクリアしていると感じました。

このコンテストには、例年3~4割の男子学生が参加しています。痴漢犯罪の解決には、男性自身が当事者性を持つことが大切です。もちろん、男性が被害者になることもありますが、その場合でも加害者が男性のケースが多いです。女性に痴漢行為をするのは、主に男性です。

痴漢犯罪は男性の問題であり、コンテストを通じて、若い男性の当事者としての認識を変えていけると感じています。そして、10年間で、デザインの応募と審査に16,600人以上が関わってたのは、非常に大きな成果です。

10年前は、まだ痴漢が性暴力だという認識すらほとんどありませんでした。「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」の継続は、社会の認識を変え、男性の当事者性を変えていく大きなアクションだと私は考えています。

審査講評
審査委員長 神崎 遥(デザイナー:第2回痴漢抑止バッジデザインコンテスト最優秀賞)

審査委員長 神崎 遥(デザイナー:第2回痴漢抑止バッジデザインコンテスト最優秀賞)

コンテストに参加してくださった皆さま、ありがとうございました。

被害を受けた方が声を上げると責められ、彼女/彼たちを守ると嘲笑され、理不尽な構造というのは依然根強く存在していますが、それでも共に闘い続ける人々の思いが届きつつあるのか、最優秀賞には連帯して声を上げているデザインが選ばれました。もちろん、デザインが優れているため選ばれたと思うのですが、徐々に投票してくださる方の気持ちも前向きに変化しつつあるのかなと感じました。

今年の審査員長賞は、肉球でSTOP!!を選ばせていただきました。猫をモチーフにしたバッジは既に商品化されていますが、肉球で表現されたものは初めてで、何より、可愛らしく女子学生が付けやすそうな点を高く評価いたしました。同じモチーフであっても、切り口を変えれば新しいものが生まれることもありますので、諦めずに見方を変えて考えてみるのも良いかもしれません。

受賞作品(5点)

最優秀賞(1点)製品化・賞金5万円

「宣誓」閏木(専門学校文化デザイナー学院 広告プロモーションデザイン学科)
最優秀賞「宣誓」閏木(専門学校文化デザイナー学院 広告プロモーションデザイン学科)

デザインコンセプト

「痴漢は犯罪です。私たちは泣き寝入りしません。」というコピーから、自分の誠意を多数の人々に対して言明する”宣誓"を連想し、コンセプトとしました。誰もが「STOP!!」と言える強い気持ちを持てるように多種多様な人達が手を挙げて宣言するデザインにしました。また、宣誓という言葉は力強く勇ましいですが、学生や社会人、多くの方が身につける上で堅い雰囲気になりすぎないよう、シンプルながらもポップに仕上げました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢は絶対に許されない悪質な犯罪です。缶バッジを見た人の一人ひとりが強い気持ちを持って声を挙げられるような社会にしたいという想いから今回の活動に参加しました。痴漢被害を未然に防ぐ社会にしていく為にも、痴漢抑止活動を応援していきたいと思っています。

優秀賞(2点)製品化・賞金2万円

「犯罪は許さない」湯淺 葵乃(香川県立高松工芸高等学校 デザイン科)
優秀賞「犯罪は許さない」湯淺 葵乃(香川県立高松工芸高等学校 デザイン科)

デザインコンセプト

デザインコンセプト = 警察官の女の子がずっと見ているぞと語りかけるような構図で可愛らしくかつ、迫力のある痴漢抑止のデザインにしました。
痴漢抑止バッジをデザインするにあたって、派手色合いにし手提げやリュックにつけてもよく目立つようにしました。また目を大き<強調することで、見た人に見られているという意識を与えられるようにしました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

学校の友達が痴漢の被害にあったときに、怖くて声をあげられなかったと言っていたのを聞いて、もう友達のような女の子が増えないようにしたいという気持ちが大きくありました。私のつくったデザインで一人でも多くの人が怖い思いをしなくなると嬉しいです。

「NO!痴漢!」せな(金沢情報ITクリエイター専門学校 Web・グラフィックデザインコース)
優秀賞「NO!痴漢!」せな(金沢情報ITクリエイター専門学校 Web・グラフィックデザインコース)

デザインコンセプト

「痴漢を絶対に許さない、見逃さない」という強い意思をアピールするために「NO」の文字を大きく配置し、鋭い視線の目で威圧感を表現しました。また、身につけやすいように若者に人気のビビットなカラーを使い、人の目に留まるようなデザインに仕上げました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢は犯罪であり、絶対に許される行為ではありません。自身の小さな対策や周囲の助けが、痴漢を防ぐきっかけになるかもしれません。
痴漢抑止バッジを付けることで、少しでも痴漢行為が減少し、誰もが暮らしやすい環境になることを願っています。

審査員長賞(審査委員長 神崎 遥賞)(1点)製品化・賞金1万円

「肉球でSTOP!!」yuiko(船橋情報ビジネス専門学校 Webクリエイター科)
特別審査員賞(審査委員長 神崎 遥賞)「肉球でSTOP!!」yuiko(船橋情報ビジネス専門学校 Webクリエイター科)

デザインコンセプト

誰でもキーホルダーのように身に着けてほしいと思い、可愛らしい猫の肉球をデザインしました。
痴漢抑止のメッセージを大きく肉球で×を作ることで分かりやすく表現しています。
また、身に着けた方の不安を少しでも無くせるように、ストレスや不安を軽減する効果がある紫色を使い製作しました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢行為は被害者に電車に乗れないほどの深刻なトラウマを与えます。痴漢抑止のために缶バッジを付ける活動は安心して電車に乗るための良い取り組みだと感じました。この活動が広まることで抑止とともに被害に遭われた方の精神的な負担も軽減されることを願っています。

たか子賞(痴漢抑止バッジ考案者 殿岡たか子)(1点)製品化・賞金1万円

「見てマス。」Ann(熊本デザイン専門学校)
たか子賞「見てマス。」Ann(熊本デザイン専門学校)

デザインコンセプト

この作品は、「見てます」と魚の「マス」をかけたデザインです。デフォルメされた可愛いマスが、無言の圧力をかけるような表情で見つめています。「見てマス」という言葉と共に、視覚的なインパクトを強調し、威圧感を与えるデザインに仕上げました。また、全体のディティールをシンプルに抑え、どなたでも使いやすい缶バッチとなっています。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢の被害を声に出すことは、とても勇気が必要です。この缶バッジを通じて、被害者が少しでも安心して日常を過ごせるよう、また痴漢行為を抑止するきっかけになればと思います。皆が安全な環境で過ごせる社会を目指し、この活動が少しでも貢献できることを願っています。

殿岡たか子(痴漢抑止バッジ考案者)より

10年前、高校生だった私は、自分ひとりで手作りの痴漢抑止バッジを付けていました。それが、コンテストを通じデザイン応募や審査員で延べ16,000人以上の方々が一緒に痴漢問題について考えるきっかけになったことに、本当に感謝しています。第1回のコンテストのときには、まさかこんな未来が来るなんて思いもしませんでした。たくさんの方々に支えられて、活動が広がっていることがとても嬉しいです。
これまでのコンテストで生まれた数々の素晴らしいデザインによって、救われた人もきっと大勢いると思います。それが自分だけのことではなく、多くの人に広がっていることが、本当に嬉しいです。まだこのバッジが届いていない人たちのためにも、これからも輪を広げていきたいと思います。
そして「たか子賞」に選ばれた作品についてですが、まずおもしろくて可愛らしいデザインで、つけやすそうなところが魅力です!特に、デザインの中のマスの目力が印象的で、実際につけたら効果が期待できそうだなと思いました。個人的にもすごく気に入っていますし、早く自分でもつけてみたいです!(笑)

※賞名の「たか子」は、痴漢抑止バッジ考案者の「たか子」さんです。審査員として参加いたしました

入賞作品

「見てるよ」ぬこ茶(岡山情報ビジネス学院 CGデザイン学科 イラスト・デザインコース)
「見てるよ」ぬこ茶(岡山情報ビジネス学院 CGデザイン学科 イラスト・デザインコース)

デザインコンセプト

得体の知れない生物が後ろを覗き込んでるようなコンセプトにしました。
黄色と黒の警告色で「痴漢犯罪」をハッキリ見えるようにしました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

最近、女性だけではなく男性の被害もあるみたいなのでこの活動で痴漢する犯罪者が少しでも減ってくれたら嬉しいです。

「凝視する目」織戸 大地(京都黎明学院 京都芸術高等学校 美術科)
入賞「凝視する目」織戸 大地(京都黎明学院 京都芸術高等学校 美術科)

デザインコンセプト

人混みの中で痴漢されたとき、加害者に向けて「お前の顔を覚えたぞ」というメッセージを込めてデザインしました。どんなに痴漢をされていても、人間が一番最初に使う機能は、目だと思いました。冷たい印象にするために、あえてモノクロにしました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

私は実際に痴漢にあったことも見たこともありませんが、被害にあった人は数えきれないくらいの方がいます。被害にあった方の心境を考えると、犯罪者の事を絶対に許さないと思います。その気持ちを目で表現しました。

「無性別、無感情、無視しない」カツ(桑沢デザイン研究所)
入賞「無性別、無感情、無視しない」カツ(桑沢デザイン研究所)

デザインコンセプト

「痴漢をしてはいけない」というのは当然です。鮮やかな警告画像の代わりに、性別も感情もない、公告のような画像をデザインしました。ポーカーフェイスの表情で痴漢を冷静に見つめ、不正行為に反撃します。シンプルですが、可愛いものが苦手な方にも受け入れられると思います。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢抑止活動に参加させて頂いてとても光栄です。この活動を通じて、痴漢行為に関する様々な情報を勉強させていただきました。
もっと多くの方に、痴漢問題に関心を持っていただけると嬉しいです。

「監視中」ぬなとの(ルネサンス デザイン・美容専門学校 イラストレーション科)
入賞「監視中」ぬなとの(ルネサンス デザイン・美容専門学校 イラストレーション科)

デザインコンセプト

イラストは鋭い目、目の周りを暗くし目が光っているように見せることで常に監視していることを表現しました。
イラスト、フォントともに黄色と黒を組み合わせることで注意喚起を表現しました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

加害者は自分の私利私欲のために何の悪意もなく痴漢をします。それに対し被害者はその時のトラウマにより普通の生活を送ることが難しくなってしまいます。そのような人が増えないようにしていくとともに、自分は関係ないと思わず被害にあわないように対策をしていきたいです。

「見ざる 触らず 映さず」鈴木那捺(新潟デザイン専門学校 グラフィックデザイン学科)
入賞「見ざる 触らず 映さず」鈴木那捺(新潟デザイン専門学校 グラフィックデザイン学科)

デザインコンセプト

「見猿聞か猿言わ猿」をモチーフにしました。加害者が缶バッジを見てハッとさせられるようなデザインにしました。三匹の猿のイラストと同じことを加害者自身がしていることを伝わってほしいという思いが込められています。若い人が使用できるよう堅苦しすぎないよう制作しました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

私は実際に痴漢にあったことはないけれど、いざ自分が被害に遭ったことを想像すると頭が真っ白になり、どう対処すれば良いのかがわからないです。こうした活動で、痴漢が減ってほしいと思っています。そして、被害者自身が目を背けないで立ち向かえる世の中になってほしいです。

「痴漢は✕(バツ)!」エミ(サンデザイン専門学校 クリエイト科)
入賞「痴漢は✕(バツ)!」エミ(サンデザイン専門学校  クリエイト科)

デザインコンセプト

歴史的な絵画であるモナ・リザをモチーフにした、楽しくユーモアがあるイラストにより、思わず手に取りたくなるような誘目率の高いデザインを作成しました。
加害者が、「痴漢は軽蔑される卑劣な行為である」と感じるように、モナ・リザの表情と両手のバツポーズで強く訴えています。

痴漢抑止活動へのメッセージ

痴漢被害を受けないように、被害者が声をあげやすい環境を作るための「痴漢抑止バッジ」の活動を応援したいと思います。

「STOPジョーズ」ishinohana(広告デザイン専門学校 広告デザイン科)
入賞「STOPジョーズ」ishinohana(広告デザイン専門学校 広告デザイン科)

デザインコンセプト

触るな!噛むぞ!という意思を込めて、大口を開けているサメをモチーフにしました。色はロゴと同じ水色とピンクで構成しています。またフォントはゴツゴツとしたものを使用し、デザインの中にキズ跡を組み込むことで、危険であることを強調しました。可愛さや怖さに振り切るのではなく、男女ともに身につけやすいようにあくまでポップに、痴漢を反対する意思を伝えられたら、と思いデザインしました。

痴漢抑止活動へのメッセージ

私自身電車の中で見ず知らずの男性に嫌な思いをさせられたことがあります。痴漢は一方的な犯罪行為です。そして、された側が通学や通勤という日常に対して、不安や悩みを抱えな くてはいけなくなります。
そんな思いをたくさんの人たちにしてもらいたくない!と活動をされている方々を私は尊敬します。私のこのバッジデザインも、その活動の一助になればと思います。

1次通過者

児玉匠さん(HAL 名古屋)/柴田成里さん(HAL大阪)/macoさん、naveさん、サノツ木さん、山口紗英さん(クリエイターズアカデミー 目黒校)/おもちさん(愛知県立瀬戸工科高等学校)/中村 ひかるさん、藤原 美己さん、平野 咲希さん(安田女子大学)/斜無個歩井ん戸さん(岡山商科大学付属高等学校)/san miyaさん(沖縄県立具志川商業高等学校)/みたらしさん、やまもさん、るんさん、佐田さん、森美月さん、津田 紗黎さん、田中 乃愛さん(金沢情報ITクリエイター専門学校)/あげもさん、鬼武未來さん、松山さん(熊本デザイン専門学校)/玉川 結衣菜さん、楠 彩美さん(香川県立高松工芸高等学校)/岡澤 亮さん(順天堂大学)/Ayaさん、M-Higさん(沼津情報・ビジネス専門学校)/saさん、ぴーすふるCさん、もずくさん、伊藤理奈さん、滝澤昌子さん(新潟デザイン専門学校)/宮﨑 悠華さん(真颯館高等学校)/安藤咲希さん(神田外語大学)/箕輪鈴那さん(船橋情報ビジネス専門学校)/ゆきちゃんさん(倉敷芸術科学大学)/テラダさん(大阪芸術大学)/牛丸碧さん(大阪情報コンピュータ専門学校)/雪さん(同志社女子大学)/高山有希さん(福井情報ITクリエイター専門学校)/白井明衣さん(福島県立会津学鳳高等学校)/古庄沙菜さん、大森有花さん(兵庫県立兵庫工業高等学校)/田中端乙さん(北海道芸術デザイン専門学校)